『不思議の国のアリス的な話』
昔々、とても空想好きの女の子がいました。
少女の名前は『エルフ』
今日もいつもの定位置で空想の本を読んでいた。
「本当にこんな事起こらないかなぁ・・・?」
エルフの読んでたもの、それは
『不思議の国のアリス』
エルフはこう考えていた。
自分も決まった木の下でいつも本を読んでいる。
そして、夢見るところも瓜二つ!!なのに・・・自分だけ何も起こらないのは不公平だ。
まったくそうなのだが、同じように考える人間が果たして何人いるであろう?
「ウサギさ〜ん、早く走ってきてよ〜!!」
怒りながらもエルフは、風の心地よさによって眠気に襲われその場で寝てしまいました。
「・・・げっ、やっば!!」
(・・・誰?)
「こんなに遅れたらあの女王五月蝿いな・・・;」
(女王?・・・え!!)
エルフはまだ閉じかかっていた目蓋を無理矢理こじ開け、その場に居たものを確認した。
白の長耳をつけ、今時珍しい時計を持った少年がそこに立っていた。
(あれ・・・お話のウサギは本物のウサギじゃ?)
エルフの前にいるのは、ちょっぴり目つきの悪いウサギの耳をつけた少年だった。
お話と違う・・・なんだガッカリ;
「とりあえず、行くか」
そう言うと少年はもの凄い速さで駆けていった。
「う・・・ッそ〜!!」
これってこれって、ウサギは違うものの物語と同じじゃない?!
私ってばラッキー♪やっとこの世界に来れたのね!!
だったら、私はあのウサギ君を追いかけなくちゃ・・・
「待ってぇウサギさ〜ん!!」
エルフは、物語の主人公になりきりウサギを追いかけました。
しかしウサギは聞こえていないのか、一向に止まる気配がありません。
そして、ある穴へと落ちていきました。
これぞ夢の世界への第一歩!!とエルフはその穴の中へ、躊躇する事もなく落ちていきました
「・・・った!!」
その長い穴の先にはいくつものドアがある部屋でした。
「はぁ、こりゃかなりヤバイな」
声のするほうを見てみると。さっきのウサギ少年が腰に手を当てため息をついていた。
彼にあげる言葉があるとすれば
『ため息ばっかりしてると、幸せが逃げてくぞ〜!!』
であろう。何が彼をあんなに悩ませているのだろうか?
「・・・行くか」
そう言うとウサギはまた走って行ってしまいました
「こ、こんなお話だったっけ?」
エルフの見たお話は、かわいいウサギさんが『たいへんだ!!時間がないーー!!』と騒ぎ
急いで女王様のいるお城まで走っていくはず・・・
なのに、このウサギ少年は背中に羽根が生えていて、どちらかといえば『かっこいい部類』に入るメルヘンには不向きな人である。
何で私の話に、あんな人が・・・?もうちょっとメルヘンな人はいないの?!
「お困り中?」
ふと顔をあげると、何故か女の子がネコの格好をしてこちらを見下ろしていた。
「…あぁ、この格好?結構厳しいよねぇ;;;うち、動物あんまり好きじゃないのに・・・」
「は、はぁ・・・」
厳しいんだ・・・;
エルフは段々夢が覚めていくのがわかった。現実なんてこんなものか・・・
「ところで、どうしたの?道にでも迷ったの?」
「え!う、うん」
急に話戻さんでくれ!!
「えっと話状、女王様の所に行かなきゃいけないから・・・あっち」
猫少女は、右方向を指差した。こっちに行けば話しが進むらしい。
「ありがとう、それじゃ」
「うん、気をつけてねぇ♪」
そういってエルフは猫少女と別れた。ハズだった・・・
「あれ・・・行き止まり」
「あの〜、猫さん?」
「ん?あ、うちの名前は樹里ね。言ってなかったねぇ」
「あ、いえ。あたしはエルフ・・・てそうじゃなくって!!」
あなたの名前聞きに戻ってきたんじゃなくって、道が道が!!ロードが!!
「あれ、違った?・・・じゃぁこれ地図。女王からもらったんだけど、うち地図読めないから♪」
それ早くいって下さい!!
そうして、ありえない事だがエルフは猫の樹里から地図をもらって女王の待つ城へと向かいました。
「パンパカパーン♪」
これから何かあるようだ。話によると・・・鳥のゴルフだったようにエルフは思っていた
「これから・・・え、女王がいない?!」
「ウサギもいない?!」
・・・そんな風になると思った、とエルフは崩れた。
私の夢は、アリスのように上手に行かないのだ。そうなんだ、きっとそうなんだ
「こらクーリエ!!なんでもっと早く起こしてくれんかったん?!」
「・・・あんたがなかなか起きないからだろ」
やってきた。何故か親しげな女王とクーリエとよばれたウサギ少年。
この世界にはあの物語の常識は通用しないらしい・・・悲しいことだ
「あ、あんたは・・・」
ウサギ少年が、エルフにやっと気が付いたようだ。
ここで、遅くなったが本編の話をしよう
まず、アリスが穴に落ちる。
そして、何もない日を祝う奴等や歌う花、不思議な猫に出会う。
その後、女王のお城へ偶然到着し、そこで女王とゴルフ対決をする。
その結果に腹を立てた女王はアリスを処罰すると言い出す。
さぁ、アリスは困ったどうしよう?!
そこで、目が覚めて夢だと気付くのだが・・・
「何この子、知り合い?あ、成美って言います、よろしく♪」
めちゃくちゃフレンドリーな女王に、無愛想なウサギ、どこに接点があろうか?
「・・・はぁ;女王様だよね」
「へ?違う違う!!女王様は只今不機嫌中により、交代でナルが一日女王で」
そんなの可能なんですか?!そして、本物の女王はどこに?
もうエルフは帰りたくて帰りたくて仕方がなかった。こんな夢を見るより、本を読んで瞑想めいてる方がずっといい!!
「あの・・・じゃぁ、本物の女王様はどこに?」
「んっと、今会ったら恐いで?」
「大丈夫です!!会いたいんです」
確かこの物語は女王に会って、帰れるんだったよね?
話が違ってもここだけは一緒だよね?
「わかった・・・クーリエ案内して」
クーリエってウサギ君はしぶしぶ案内してくれた。
やっぱり後ろの羽根が気になる・・・触っちゃダメかなぁ?
「おいあゆみ・・・入るぞ?」
意外にも女王の部屋は普通で、簡単にいえば今時の女の子の住む部屋だった。
「入っていいなんて言ってない〜!!」
「返事しないのが悪い」
女王様(あゆみ)は只今布団でモゴモゴしていました。起きたてなのかなぁ?
「・・・お客です、じゃ」
そう言うとさっさとクーリエは部屋から出て行った。
この白状者〜〜〜!!女一人を女王の恐怖部屋に置いてけぼりにして・・・
「う〜ん、誰〜?」
眠た眼で起きてきたのは、あまり年の変わらない普通の女の子だった。
ただし、起きたてで機嫌がものすごく悪そうだった。
「あ、あの!私エルフって言います、その・・・」
「元の世界に返してくれって?よくいるんだよねぇ・・・自分で来たくせにさぁ」
もぅ何だか一人で愚痴りだしましたよこの人・・・ダメだ、この人寝起きがめちゃくちゃ悪い!!
ある意味、本当の女王様だ!!
「・・・まぁいいケド、もぅこないでよ?はぁ・・・眠い」
「す、すみません」
「それじゃ、バイバイ」
「は!!」
目が覚めたときには、エルフはいつもの所で眠っていた。
あれは夢だったんだろうか?否、夢であって欲しい。
この日をきっかけにエルフは現実を少し知ったのでした。
そしてあの国の人たちは・・・
「ナル〜!!仕事変わって〜!!」
「あゆちゃん、自分の事は自分でしやなッッ!!」
「そうそう、ねぇもうこれ脱いでもいい?」
「・・・もう勝手にしてくれ」
変わらず過ごしていた。
【完】
後書き
これって・・・一体なんなんでしょうね?
自分でもわからんです;;;
とにかく今生きてるキャラを使っちゃえって思っただけでして・・・
作ってみたら意外に難しいって事に気が付きました。
今度からはもっと考えて、しようと思います・・・(ペコリ