日も暮れて
あたりが暗くなっていく
そんな時に私は思い出す
あの綺麗な羽根の事を
この窓からみえる空から降って
降ってきたのは
少年?
『そして道は開かれて』
俺のお気に入りの場所、下の世界が見える禁断の地
何故禁断なのかは、説明しなくっても大丈夫だろう
禁断といっても警備やらが凄いわけもなく、ただ進入禁止と言われているだけなので
進入するのは容易い事だった
他のやつらは、神に従っていてここにくるはずもない。
つまりここは、俺だけの場所
見つかれば俺だってただじゃ済まないだろう。神は絶対だからな。
けれど、俺は神なんかに従うつもりなんかないし、将来がどうなろうとしったこっちゃない。
ただ自分の思うがまま生きていたい、そう決めていた。
「そろそろ戻るか」
俺にだって帰る所ぐらいはあるぞ?
家に戻ると何通も手紙が詰め込まれていた。
まぁ大体が俺への嫌がらせだろうけど・・・
「ゴミが増えて大変なんだぞ」
俺は大量の手紙の中から珍しいものを見つけた
神からの物だった。いつも、定期的に下の世界でいう『内閣』とかのやつらからくるけれど
神本人からは初めてだった。
そして、神から手紙が来るというのは
『転移』を意味するのが大半だった
転移出来る者の決まりがある
それは優秀なヤツじゃないといけないってヤツだ
頭がよかったり、成績優秀とかの優秀じゃなくって
周りからの信頼がよい、神から信頼されてるなど・・・人望で判断される
俺みたいなヤツには滅多に回ってこない役だ
なのにこの呼び出し・・・あまりいい気がしない
『明日、必ず来るように』
めんどくさいなぁ
次の日、俺は手紙どおり審判の門で待っていた。ここに迎えを来させるらしい
数分たって向かえがきた。見た目は普通の天使らしい天使だった。ただ・・・まだまだ子供だ
「神がお待ちです。ついて来てください」
「用って何なんだ?」
「ぼ・・・私にもわかりません。こちらです」
こいつ普段、敬語を使い慣れてないとみた。今僕って言おうとしただろう?
それにまだ飛ぶのも慣れてないだろう?フラフラしてるぞ
こんなヤツ迎えに行かせるなんて、何考えてやがる
道に迷わないか・・・不安だな
「神様、クーリエを連れてまいりました」
「遅かったのですね」
「こいつが迷いまくったからな」
思ったとおりだった。分かれ道になると決まって止まり、逆の道の道を進んでいきやがった。
その上、上手く曲がれないらしく何度もぶつかりそうになって仕方なく俺がこいつを運ぶハメになった
それで・・・着いたら大幅に時間がかかってしまったというわけだ
もっとまともな迎えをよこせ!!
「そうですか・・・もう下がってよいですよ」
「はい」
そう言うと、あいつはフラフラしながら部屋を出て行った
本当に大丈夫なのか、あいつ
「クーリエ」
「何ですか?」
「あの子が迷惑をかけましたね」
「ええ、とっても」
迷惑なんてもんじゃない。本当にあいつをなんか道案内にしたあんたの、神の考えがまったく理解できない
「・・・クーリエ、ここは私とあなた以外誰もいません。敬語などしなくてもいいのですよ」
「それ、早く言ってよ」
敬語なんて何年ぶりに使ったか、覚えていない
使う相手なんていなかったから、まぁ当たり前か
「で、何の用?」
「・・・あなたは、下界に行った事ありますか?」
答えはNO、当たり前である。
下界には行きたいがいけない。それには理由がある
下界と天空(下界でいう天国)には、行き来できないようにバリア・・・簡単にいえば壁がある
だから、例え下界のやつらが空を飛んでも俺達の世界は見えない。俺達からは丸見えなんだが
「どうして?」
「私は・・・一度行った事があるんです」
私がまだ幼い時、あなたと同じように「禁断の地」へ足を運んでいました
何故あなたが侵入したのを知っているか驚きましたか?
黙っててごめんなさい。実は全部知ってるんですよ
だから、私はあなたに頼みたいのです
話を戻します
私は禁断の地であなたと同じように下界を見ていました
ただあなたと違ったのは、ただ見ていたのではなく
下界へと降りたのです
どうやって降りたかといいますと
実はあの壁には、少しだけ欠けた部分があったんです
もちろんそれは私以外誰もしりません
その小さな穴を通って私は下界へと降りました
下界はとても広い場所でした。私なんて本当にちっぽけな存在でしかないと思い知らされるような・・・
とても素敵な場所でした。
私はあまりに想像以上だったので、帰る事も忘れ、ただ町を見渡していました
しかし、気が付くとかなり時間が経っていて、早く帰らなければと私は急いで戻ろうとしました。
開いていた穴が次第に閉じてきたんです。
私は焦りました。このままでは帰れなくなってしまう、そう思いました。
そして・・・私はあるミスを犯してしまいました。
そう、下界の人間に姿を見られたのです。
下界の人間達は慌てて私を捕えようとしました。
もちろん捕まるわけにはいかないので、私は必死に逃げました
けれど、一発の銃弾が掠め私はそのまま気を失ってしまいました
運よく、下界にあった森に落ちて人間達に捕まるのは逃れられましたが・・・
ここの人間にとってはとても大事な『羽根』をなくしてしまいました。
「羽根を?じゃぁ、その羽根はなんなんだ?」
神の後ろにはちゃんとした羽根がついていた。真っ白で大きな羽根が
「・・・すべてを失ったわけではありません。ほんの数本です。しかし、あなたも知っているハズ…この羽根を下界の人間が持ってはいけない事を」
知っている。否、俺だけじゃない。ここに住む奴等全員が知ってる。
俺達の持つ羽根は不思議な力を持ってると言われている
まぁ、俺達にとっては足の代わりとしかないんだが・・・
下界の奴等が持てば・・・どこかのアニメなんかでありそうな事、つまり『悪いやつが持てば世界の終わり』ってやつだ。まぁ、いい奴がもてば世界も安泰って言われてるが・・・大体が悪い奴だろう
「私は、この数年間必死で探しました。しかしあと1本がどうしても見つからないんです」
「・・・それを俺に探せと」
「あなたにしか、この事を話せる人はいません。お願いです、どうか探し出してくれませんか?」
断る理由はなかった。否、断れなかったとしか言えない。
下界に興味があったし、それになにより・・・この人からの頼み事は断れなかった
この人は俺の大事な人だから・・・
「わかりました・・・」
「ありがとうございます、クーリエ・・・」
我が弟よ・・・
結局また、あの方向音痴のフラフラ天使に道案内(俺が運んだ)を見守るはめになった
まぁ、いいか。しばらくここには戻ってこられないわけだから・・・いい(?)思い出として、頭の片隅にでも残しておくか。
そして俺は、その日下界へと降りていった。
期待と不安を胸に・・・
目の前に見えるのは少女
俺を不思議そうに見ている
これは夢だろうか?
少女が微笑んでいる
何か・・・言っている
これが始まりだった
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後書き
えっと、第2話ってな事なんですが、今回は思いっきり説明ばっかですね;
自分的にはあっさりするかなぁ?なんて思ってたんですが、こんなに重くなるとは・・・
きっとこれを読んで『暗ッッ!!』って思った方が多いと思います。
明るいギャグ系を求めてる方にも本当に申し訳ない回でした。(ペコリ)
次は明るくいこうと思ってますんで、よろしくお願いします!!
※わかりずらかったかも知れませんが、神は女です。つまり・・・クーリエの姉ですね;
混乱した方すみませんでした;