普通は驚くだろう
空から落ちてくる天使なんて
普通信じないだろう
あんたは普通じゃないのか
夢が叶っただと?
俺はあんたを喜ばせに来たんじゃない
『夢は信じるもの』
おばけとか、幽霊とか・・・私は嫌いだけど、信じてる
けれど、妖精だとか・・・サンタだとか好きだし、信じてる
見た事はないケド、信じたっていいじゃない?
町の人は信じていないが多い。
天使だの神だの、そんな事言ってる暇があるなら仕事しろ!!って感じで
何の夢もない。おもしろくない。
もっと、色々信じてみたっていいと思わない?
小さい頃聞いたおとぎ話とか、異世界とか
本当にいるかもしれないじゃない
だから飛び出してみたくなる
こんな小さな世界じゃなくって
おおきな世界を見たくなる
きっと、凄いことが待ってるって思うんだ
私の知らない事、たくさん!!
「姫様ーーーーーーーーーーー!!」
あ、ヤバイ!また見つかっちゃった・・・
夕方の、普通だったら皆が『からすと一緒に帰りましょ〜♪』って歌う頃
じぃのけたたましい声が城中に響き渡った
今日の脱走・・・失・敗!!
「もぅ、部屋に入っちゃダメって言ったのに〜!!」
「そんな事言って姫様は脱走するんですから・・・じぃは安心できません」
そう、私はこの国の王女である。
名前は『エルフ』っていうの・・・誰も呼んじゃくれないけど
本当はもっと長い名前なの。
自分でも覚えられなくって、略して呼んでる。
長い名前って・・・覚えずらくって嫌いなの
「姫様聞いておりますか?」
「聞いてない」
姫様・・・と額を押さえてじぃは深いため息をついた
じぃはね、私が生まれてすぐにここに来たんだって
あの頃からじぃは私のたった一人の理解者
私のお話聞いて
「それは、素晴しい事ですね」
って笑って聞いてくれるの
とってもいい人なんだ・・・けど
「ですから、姫様は言葉を」
「だってぇ、ここにはじぃしかいないんだし・・・いいじゃない!!」
「だめです」
「もぅ!!」
こんな所は一歩も引かない頑固者!!
・・・けれど、大好きな人なのに変わりない
じぃを部屋から追い出してさっさとドレスに着替えた
こんな窮屈な服、誰が考えたんだろ?
何故私が着替えたかというと、今日はお義母様と会うから
文字を見てわかるように、本当の母親じゃないの
お母様は、私を生んでから病気になって亡くなったって聞いた
だから私、全然覚えてないんだ
でもね、とても優しい人なんだろうなって思うの
写真をネ、こっそり見たの
とっても優しい笑顔だった
「エルクワナ・ロックジーフ、遅かったですね」
出た・・・私の本当の名前
そして、私の大嫌いなお義母様
「なんですか、その目は」
あなたの目がなんなのよ、ぐわっと大きな目・・・とっても恐い
そして意地悪そうに曲がった口、化粧で隠してるけど皺くちゃな顔
何でお父様はあんな人を選んだのか・・・不思議だわ
「・・・お話とは何でしょう?」
「ふん!ムカツク子供ね・・・」
こっちがムカツクっての!!
何なの、呼び出しが掛かったと思えばグチグチと・・・
私はあんたの愚痴聞きにきたんじゃないわ!!
「で、何ですか?」
「あなた、最近お城を抜け出し、町に出入りしてると聞きます。町人も困っているようですから、今後このような事のない様、してもらいたいわ」
「・・・お話とはそれだけでしょうか?それでは失礼します」
後ろで何か言ってるようだけど、気にしてると埒が明かないわ
私は早足で部屋に戻った。
只今、夜の9時・・・
あの人のせいで私の大切な時間が消えちゃったじゃない!!
実はあの部屋(私は審判の部屋って呼んでる)まで、結構な距離があるの
あの人が私の傍にいたくないからって、部屋を遠ざけたの
そのくせ、私を呼び出してはグチグチ言うのよ!!
今日だって、城を抜け出すなですって?
私の楽しみ取らないで欲しいわ・・・
「もう、どこか遠くへ行きたいなぁ」
あの人に会うのは嫌よ・・・
あの人の目、恐いもの
私を嫌ってる目・・・私を邪魔者としても見てる目
そんな目が恐くってたまらない
コンコンっと誰かがノックをした
「・・・?どうぞ」
ドアを開けたのは、じぃだった。
私を心配して様子を見に来てくれたらしい
手には私の大好きなおにぎりを持って・・・
「姫様、お腹も空いていらっしゃるでしょうと思い・・・これを」
「わぁ〜、おにぎりッッ!!じぃありがと♪」
私はおにぎり(じぃに)に飛びついた
お姫様がおにぎり食べるって想像できない?
これはね、じぃが小さい時に、私があのお義母様に怒られると決まって作ってくれたの
すごくおいしくって、それは今でも変わらず作ってくれる
なんか、安心できるんだぁ・・・
「して、今日はどんなお話で?」
「今日?・・・つまらない話よ」
そう、つまらない話
こんな小さな世界で生きろって言われた・・・
窓の外には、こんなに大きな世界が広がってるのに
・・・そういえば、あの日もこんな時だったかな
羽根を拾ったあの日・・・
あの日も確かお義母様に怒られて、じぃのおにぎり食べながら空見てたんだっけ
夜空・・・綺麗だったなぁ
「あれ?」
「どうなされました?」
今、窓の外で何か光ったような・・・
もしかして、また何かが空から
「じぃ!!私ちょっと行ってくる」
「な、お待ちくだされ姫様!!」
待てって言われて待つ人がどこにいる?
ここにはいない・・・いるのは光目指して脱走した姫だけ
「確かこの辺りに・・・」
ここは、街外れの森(っていうのかな?)
先ほど光はここに落ちたと思うんだケド・・・
「勘違い?」
あの日の事を思い出してて幻覚を見たのかなぁ?
そんな事を思ってると、右の方で何かが光っているのが見えた
私は急いでその場所に向かった
そこにあった・・・いや、いたのは
「・・・お、男・・・の子?」
宙に浮かぶ金髪の尻尾髪な男の子が眠ってた・・・
背中には大きな羽根がついてる
これは・・・もしかしなくっても
「天使ッッ?!」
私の声にビックリしたのか、男の子は飛び起きた。
目を真ん丸くしてこっちを見てる
二人共、無言のまま見つめ合ってた
先に口を開いたのは向こうだった
「・・・誰だ?」
「え、えっと・・・私はエルフ」
普通に自己紹介しちゃったけど・・・これって
(ここはどこだ?・・・下界にきたのか?)
「やっと会えた〜!!」
私は男の子にガバッと抱きついた
男の子は、少し驚いてた(少しかぁ?)けれど、私は嬉しさのあまり我を忘れて話してた
「キミ、天使だよね?夢が叶ったぁ〜♪」
「お、おい!!何を言って・・・とにかく離れろ!!」
夢が叶った喜び
キミに合えた喜び
これは違う喜びで
私はこの時を願ってたんだ
けどね
これから何が起こるのか
想像もしてなかった
この私が・・・だよ?
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後書き
えぇっと・・・今回のは主人公『エルフ』側でした。
本名は出来るだけ長くしようとしたんですが、怜本人が忘れそうなので・・・
あの長さで断念!!ってかあれ自体忘れそうでヤバイです(笑
次からは、二人そろってでてくるわけなんですが・・・この二人がそろうと思うと
なんだか、恐いものがありますね;;;
メルヘン目指し中なのにギャグにいってしまいそうです・・・誰か怜を止めて!!(ケラ
えっと、短編を読んだ人ゎわかると思いますが、姫様シリーズで出てきたじぃと
ここに出てきたじぃは違います。別人です!!
何だかあのキャラが好きなので使ってしまいますが・・・別人です!!(ぐっ
でわ・この辺で・・・また次に会える事を(^▽^)ノシ