今度の話は本当?
疑うことも必要だけど
信じることも必要だよね
嘘か真実か
見分けられたらいいのに
またキミはため息をつく
『捕えられた姫』
なんだか、町からかなり離れてきたんだけど・・・
先ほどのコートの男の子、さっきから何も言わないの
さっきまで笑顔だったのに・・・今じゃ無表情でただどこかに向かってる
コートだって一向に脱ごうとしないし
本当についてってよかったのかぁ?
「ここや、入って」
案内された場所は、今にも壊れそうな建物だった
周りに人気はなく、動物も近寄ろうとしない感じだった
けれど、コートの男の子は気にする様子など全く見えない
私たちは案内された建物へ入った
歩くたびにギシギシとなる床
そこら中に床が抜けた跡がある
ここ・・・大丈夫かなぁ?
「ふぅ…暑っちぃ暑っちぃ!!」
そういうとバサッとその場にコートを脱ぎ捨てた
そこに立っていたのは、キラキラ光る黒髪のラフな格好をした男の子だった
コートで見えなかったケド、腕には片翼の刺青が刻まれていた
「自己紹介が遅れたな・・・俺はクラウン、ここの管理人や」
「管理・・・人?ここの?」
言っては悪いけど、このボロイい建物を?
それにさっき言ってた盗まれそうになったものもここにあるの?
・・・特になにもなさそうだけど
辺りをよくよく見てみれば、ここは教会だった
少し光が入って十字架が見えてきたからきっとそうだろう
「そうやぁ♪ここに人いれんようにするんと、あれを守るんが俺の役目や」
「あれって?」
クラウンは、後ろをグィッ!っと指差した
後ろにあるのは・・・教壇?
「こいつを押すとやな・・・ぐぬぬぬ!!最近、硬ぁ、なった…なぁ…!!」
重そうな教壇をゆっくり押していくと、見えたのは下へと続く階段
これってこれって、秘密のお部屋にご招待ってやつ?
「ここ降りてくとあるわ、暗いから足元気ぃ付けやぁ」
下へと降りていくと広がる部屋
上とは違い、人が住んでる形跡があった
きっとここでクラウンは暮らしてるのね
「片付けてへんから散らかってるケド気にしゃんといてなぁ!!え〜っと・・・こっちやこっち」
気にするなって言われても・・・ここをどう歩けばいいの?
足場には、ゴミやら雑誌やらが散らかっていて到底歩ける状態じゃなかった
それをクラウンは器用にも飛び越えて進んでいく
例えるなら、いい方は『空中を飛び回るピエロ』悪い方は『道端で飛んでるカエル』
「どうしよう・・・?」
「はぁ・・・捕まってろよ」
え?何に捕まれば?
そんなの言う間もなく、クーは私を抱えクラウンと同じように飛び越えはじめた
もうぴょンぴょンと飛び越えていくの
・・・前から思ってたんだけど、クーの運動神経どうなってるの?
「お疲れ〜♪よう来れたなぁ!!流石やな、えっと・・・名前なんやったっけ?」
「あ、私はエルフ。こっちの彼はクーリエ・・・そういえば言ってなかったわね;」
「あはは、そうやなぁ♪お、そうそう!これやこれ」
そう言うと、クラウンは部屋の奥に置いてある物を指した
これは・・・
「・・・は、羽根?ぷわぷわ浮かんでるわ」
「何でこんな所に?」
クラウンは自信満々に、そして少し迷惑そうに話だした
「今日話したやろ?あれ、半分ホンマやねん・・・嘘ついて堪忍なぁ!!
実はな、この羽根はずっと昔におった天使のもんらしいねんケド・・・ずっとここに置きっぱやねん;ホンマ迷惑な話やで・・・自分のもんは自分で持っとけっちゅうにッッ!!
あ、それでなぁ俺達5人が、世界各地で管理してるって訳なんや」
えっと・・・どれから驚けば?
とりあえず、あの話は本当で・・・天使の羽根が証拠
それで世界に5人の・・・あれ?
「ねぇクラウン、5人ってあなた以外にまだいるの?」
「そうや、俺合わせて男3人女2人の5人!!俺は、秘密管理ファイブって名前つけてんねん♪かっこいいやろ〜!!」
何だか戦隊の人たちみたい・・・
「・・・なんでお前達が管理しているんだ?」
その言葉に先ほどまで笑顔だったクラウンの表情が変わった
まるで、心に隠していた事を掘り起こされたような・・・そんな表情
「それは・・・」
建物が上下に揺れた
上から、建物のは縁などが降ってくる
何かがぶつかったのだろうか
「キャッ!」
私は振動で倒れそうになったケド、誰かが支えてくれたため倒れずにすんだ
お礼を言おうと振り向いた時、絶句した
「へへへ、お前らそこから動くなよ」
私の後ろに立っていたのは、腕に刺青をした男
クラウンやクーの大事な羽根を狙う盗賊だった
不覚にも私は男達に捕まってしまい人質状態
逃げようにも腕は捕まえられ、首元には私の皮膚なんて簡単に切れるであろうナイフが
「な、女の子人質にとるなん・・・あんたらエロ親父かッッ?!」
「「「「なんでそうなるんだッッ!!」」」」
皆息の合った見事なツッコミで・・・
「おい、今すぐそいつを放せ」
クーの言葉で、我の帰った盗賊たちは不適な笑みを浮かべた
「このガキを話してほしけりゃ、あれをよこしな」
あれ・・・後ろにプカプカ浮かぶ羽根を盗賊の兄貴らしき男が指差した
この男達の狙いは、やはり羽根のようだ
「あかん、あれだけは絶対に渡せへん」
そう言うと、体制を低くして構えた
クラウンはさっきまでの笑みはなく、真剣な眼差し
それほどまでにこの羽根が大事なものなんだろう
「だったら、このガキも渡せねぇな・・・」
「んなっ!!ふざけんのも顔だけにしいやッッ!!」
その言葉に私の後ろにいた男のこめかみに血管が浮かんだ
男の弟分達は口々に「それは言ったらいけない」「気にしてるんだ」「兄貴だって傷つくんだ」
と言っていた
確かに顔は、言っては悪いけど・・・ぶさいくだった
男っぽい大きな顔に、大きくて筋肉だらけの体、細い目、大きな口に、黒い肌・・・
対照的にクーやクラウンは、顔が小さく、目も大きい。肌も白くって、体格もいい
クラウンは自分で言いながらも笑い出し
クーも男の顔をじっと見ている
「てめぇら・・・」
この男は、顔の事を気にしていたらしくすごくキレている
顔が真っ赤になって、トマトみたいだった
力の加減もわからない程に、怒ってるみたいだ
私の腕を掴んでいる手にも力が入って、ミシミシと腕がなった
「痛ッッ・・・!!」
「あ、兄貴・・・そいつ傷ついたら人質の意味が」
後ろにいた刺青にナンバー・と彫ってある男が小声で話した
兄貴と呼ばれた男は、我に戻って腕の力を緩めてくれた
「ふん、渡す気がないなら・・・力ずくで奪い取るのみ!!」
そう言うと、後ろの弟分達が一斉にクー達に襲い掛かった
みんな手には、刃物や武器を持っていた
けれどクラウンはニコッと笑い、クーはため息をついた
今までにあった事を説明するのは・・・すごく難しい事
まず、ここに倒れてる人達の説明から
この人達は全員クー達にやられた人達
私が見た光景で覚えているのが
ある男がクーを後ろから切りかかろうとしたんだけど
振り返りざまに男の横腹に回し蹴りをくらわしてから、次に襲い掛かった男の攻撃をよけるため
しゃがみこんで、顎に思いっきり肘鉄をくらわした
そして結局、全員が倒れた訳なんだけど・・・
「兄貴・・・や、やりましたね!!」
「おう、どうなるかと思ったが・・・なんとか成功だな」
見事に私ごと羽根を奪われてしまったの・・・
それは、ある偶然が重なったから———
「くそ・・・ッッ!!」
「なんや、張り合いないなぁ・・・」
さっきまで、戦っていたとは思えないほどに余裕の笑みを浮かべたクラウン
クーリエも背伸びをして、余裕だった
私は勝った、そう確信した・・・けれど
「なんだなんだ、この穴は?」
「こんなのあったのかしら?」
聞こえてきたのは、町人の声
さっきの音を聞きつけてやってきたのだろう
すると、先ほどまで余裕だったクラウンが急に焦りだした
「今だッッ!!」
盗賊の兄貴はその変化を見逃さず、煙玉を使って逃げるという卑怯な手に出た
もちろん、羽根も忘れずに盗み出して・・・
「お前も来い!!」
「え・・・ちょっと離しッッ!クー!!」
「な、エルフ!!」
そして私は今、盗賊達の飛行船の中にいる
手には縄がくくりつけられて、身動きできない
身動き出来たとしても、ここから逃げる術なんてないんだけれど
これからどうすればいいのだろう・・・?
私一人じゃ何も出来ないよ・・・
クー・・・きっと助けにきてくれるよね
捕えられた姫の
悲痛の叫びなど
聞こえるわけもなく
男達は祝杯を交わしていた
姫が願うは
心から信じる仲間の助け
そして
仲間との再会
next
後書き
え〜っと、すみません!!いきなり謝っちゃいます。
もぅこの話はメルヘンじゃなかったのかぁッッ?!って感じですね;
最後にはエルフ捕まっちゃうし・・・不細工な男ゎ出てくるし!!これ一番嫌だッッ!!(ぷんぷん)
えっと今日のテーマは『秘密』って事ですねぇ・・・はい。(なんだ)
怜にも秘密があります、誰にでもありますよね?
それを明かすか明かさないかは本人次第・・・無理に聞きだすのはいけません;
秘密を知りたくなるのは誰だってあるでしょうが・・・我慢です!!(ぐっ
それに、無理に聞き出せば傷つく事も考えられますし・・・それだけは避けたいですよね
この回に出てきた盗賊の兄貴、彼も傷つくんですから・・・見た目でも判断できませんし(失礼?/ゲラ)
あ、注意ですがクラウンは自分をかっこいいと思って『不細工』と言ったわけではありません
ただ、兄貴があまりにもふざけた事を言うので本音でポロっと・・・;
っと今回も長くなってしまった作者のアホ話ッッ!!
でゎ、次また逢える事を・・・(ペコリ)