都合のいい事が
ずっと続くとも限らない
今に見ていなさい
きっと取り返してやるわ
私達の大事な物を
『強がりな少女は嘆いた』
今日も外では騒がしい音が響き渡っている
子供が母親に笑顔で走っていき、それを笑顔で母親が迎える
そんな光景を、一人の少女は見つめていた
黒いコートを被った小柄な少女
親子が立ち去るのを見送ると、少女は走りだした
向かうはある建物
少女の住まいとは思えない、古ぼけた教会
少女は今日もここで待っている
笑顔の彼が来ることを
いつまでもいつまでも・・・
「ガハハハハハ!!次もやってやろうぜ野郎共!!」
「「「「おう兄貴!!」」」」
今日も続く宴会、ずっと飲みっぱなしである
エルフは、こんな奴達に捕まったのかと自己暗鬼におちいっていた
昨日出会ったクラウンという男の住む教会で、一つの羽根を見た
クラウンはその羽根の管理人なのだという
他にも4人の管理人がいると彼は話していた
次というのは、きっとその4人の中の誰かの場所にまた盗みにいくという事なのだろう
しかし、
「今日も飲むぞーー!!」
いくらなんでも浮かれすぎである
流石のエルフも苛立ちが募っていた
確かに、羽根は盗まれ自分も人質として捕まってしまった
彼等が浮かれるのもわかる
だが、これほどまでに浮かれられると話は別である
「兄貴、次の街が見えてきやしたぜ」
腕に刺青6と彫ってある男が操縦席から無線連絡してきた
次の街、エルフは窓から下を見下ろした
大きな噴水が特に目立つ街だった
広さはクラウンのいた街と同じくらいで、所々に噴水がつくられている
「水の都か・・・よし、着地する!!」
水の都・・・エルフが本で読んだことのある名称だった
エルフのいた街からそんなに離れていなかったような覚えがある
水の都は名前の通り、透き通った水が有名
ここに・・・もう一人の羽根の管理人がいる
昨日の出来事・・・
「だぁーー!!やられたッッ!!」
クラウンは、傍にある木を殴りたおした
先ほど、あの盗賊達に羽を奪われエルフも人質としてさらわれた
その事が、クラウンを苛立てているのだろう
「おい、クーやっけ?!あいつら追いかけんぞ!!」
「・・・当たり前だ。それより」
「な、なんやねん」
クーリエはクラウンを睨んだ
今から言う事に嘘偽りなく答えろ・・・そういう目だった
「何故あの時、町人が来たとき・・・お前は」
「ちょいまち」
クーリエの話を止め、クラウンは苦笑をうかべた
「その話、また今度でいいか?・・・今は話したくないねん」
今すぐに答えなければいけない問題でもなかったので、クーリエは頷いた
するとクラウンはいつもの笑顔で
「んな、エルフんと行こか?」
「場所、わかるのか?」
クラウンが言うには、あいつら盗賊は、羽根を目当てで盗みをはたらくやつらなのだという
すると、考えられるのがここから一番近い管理人の所へと向かったという事だ
ここから一番近い管理人・・・水の都に住む少女だという
「付いてき、俺が案内したる」
そう言うと、クラウンは猛スピードで走り出した
クーリエはため息をつき同じように走っていった
本当に二人の体力はどうなっているのだろうか?
「兄貴、着きやしたぜ」
飛行船が下りたのは、一面野原の場所
街からは、少し離れていてここに飛行船があるとは誰も気付かないだろう
「おい、おめえら・・・わかってんな?」
盗賊達は、いっせいに頷いた
さっきの作戦を実行するぜ、という意味らしい
すると盗賊達は、さっさと街の方へと歩いていってしまった
エルフは、残された見張りと一緒に飛行船でお留守番状態だった
「大人しくしてろよ」
そう言われて黙ってるほど、エルフは人間が出来ちゃいない
さっき開放できた(暴れたため)腕で、近くにあった棒で思いっきり頭を殴った
男は声をあげて倒れた
しばらくしても動かないので、気絶したのだろう
「これで、よし」
念のため、エルフは男を自分がされていた状態
つまり縄で腕をくくりつけ、身動きできないようにした
エルフは飛行船を抜け出した
向かうは水の都・・・
「凄い・・・綺麗な所ね」
急いで街に向かってみれば、綺麗な噴水や街の建物がお出迎え
見る所全て輝いて見える
エルフが街についたのはいいものの、どうやって盗賊達を探すか
まったく考えていなかった事に気が付いた
こんな時、クーリエならため息交じりに
「考えてから行動しろ」
などと、注意されそうである
エルフはこれも自分だと思い直し、その考えを捨てた
「まず・・・人気の少ない所よね」
誰も聞いていないのだが、エルフは確認をとる
クラウンがいた所も、人気の少ない場所
それに、人を避けてる感じだったから・・・全部勘だけど
エルフには、何ともいえない確信に近い感情があった
まず、向かうは・・・街外れ
少女は感じた
何かが起こる
それは、何ともいえない胸騒ぎ
恐い、怖い、コワイ
果たして自分に、何が起こるのだろう?
自分は、守ることが出来るのだろうか?
答えを聞こうとも、誰もいない
そう・・・誰も少女に話しかける者などいない
少女は呟く
早く・・・早くきて
「はぁ・・・ここの街って意外に広いのね」
街外れを歩いて数十分・・・何もない
街を外れすぎたのだろうか?
それとも・・・ここではなかったのだろうか?
エルフの頭に不安がよぎる
「あの盗賊達・・・どこ行ったのよ」
そう、あの盗賊達の後をついていけばよかった
見張り役の男を早く気絶させて、さっさと行動すればよかった
どうして私は、こうも抜けているのだろう?
どうして私は・・・
そこまで考えて、エルフは思考をとめた
やめよう・・・こんな所で考えたって仕方がない
今は行動!!ただそれのみ!!
「ファイト私ッッ!!」
自分に気合をいれ、またエルフは歩き出した
ただ考えたくなかったの
いつもの私がいなくなりそうで
ただ傍にいたいの
一人はもう嫌なの
それぞれの声が聞こえる
答える者を探してる
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後書き
今回は皆一気に出しちゃったので、混乱した方がいらっしゃるかと思います
先に謝ります、すみません(ペコリ
それでですね・・・今回のテーマ【それぞれ】です!!
一人一人考えが違って、そして一人一人色んな物を持ってるんだって事
あたりまえですが、やはり自分の意見が皆思ってるなどと思ってしまう人もいると思うんです
怜もその一人・・・わがままなんです;;;(そういう事か?
今回が少女というのが出てきましたが、ネタバレになるので詳しくはいいませんが
大事な人です。きっと皆わかってると思いますがね・・・;;;
次回くらいには、素顔見せてくれるとおもっています
でわでわ今回も意味のない話になりましたが・・・
また逢える事を願って・・・。