近づく心を
少女は感じた
もうすぐ会えるのだ
自分が願い続けたあの人と
あの笑顔が
もうすぐここに





『笑顔の出会いと悲しい時間』

「う〜ん・・・あれ、いつの間に眠ったの私?」
エルフは気が付くと、そこは木々の生い茂る場所にいた
いつからここにいたのだろう?
何故ここにいたのだろう?
エルフは昨日あった出来事を必死に頭をフル回転させた

昨日、きっと人通りの少ない場所にあるだろうと考え
エルフは裏道をずっと歩いていた
ずっとずっと歩き続け、気が付けばこんな林の中
それでも見つからず帰ろうとしたが、帰れない
エルフは自分が道に迷ったという事を、ここに来てから約2時間後・・・気が付いた
そして道に迷ったとなれば、人捜しどころではないと今まで歩いてきた道を振り返るが
本当に自分はここを歩いてのかという道しか見えなかった
いや、これは道とは言えないだろう
クラウンのいた町に行くために通った獣道と同じくらい
「どうしよ・・・」
とにかく、振り返ればそこに道がある
その道を進むしか方法はない、そう思った
けれど・・・進むも進むも同じような道ばっかり
本格的に道に迷ったと断言していい状況だ
これ以上歩いても疲れるだけ、そう思ったエルフが近くにある石にもたれようとした
その時
「え、えええ、ええーーーーーーー!!」
エルフの重み・・・いや、もう崩れかけていたのだろう
石は崖の方へと転がっていき、もたれかかったエルフも同じように転がる
ドンガラドンガラ・・・それは坂道に転がるみかんのように

そして今にいたる・・・あの後衝撃で気絶してしまっていたらしい
「いたた・・・よくこんな怪我だけで済んだわね」
怪我という怪我ではなかった
腕を軽く切っただけ、血も止まっている
服はボロボロで土で汚れてるけれど、自分ってこんなに運のいいやつだったのかと思った
それはこれから見る光景の時にも思う
エルフが振り返ると、そこには綺麗な湖が・・・
そしてそれに囲まれるように教会が建っていた
「嘘・・・着いちゃった」
まさに強運の持ち主・・・(落ちた事はおいといて)

まわりは凄く静かで、まだ盗賊達も着ていないようだ
エルフは安堵した。流石に自分一人では盗賊達に叶わない
「よかった・・・でも」
でも・・・管理人もいるのだろうか?
果たして、自分一人で会いにいって警戒されないだろうか?
不安がよぎる
エルフは息を飲み込み、一歩一歩教会へと近付く
ぎぎぎ、と古い音を鳴らし、扉は開いた
クラウンのいた場所とは違い、古いがまだ綺麗にされていた
湖の色がミラーに反響し、教会がまるで水の中にあるような錯覚に襲われる
凄く綺麗で、エルフは思わず見とれてしまう
教壇に飾られてある女天使像もキラキラと輝く
「綺麗・・・」
エルフが教壇の方に歩み寄り、像に触れようとした時
ぎぎぎ、と先ほど聞いたまったく同じ古い音が教会に響く
エルフは盗賊が着たのかと焦り、教壇の傍にあった椅子の影に隠れる
だが、そこに現れたのは黒いコートを被った小柄な少女
「この子が・・・」
頭の悪いエルフもすぐにピンときた
この子がクラウンの話していた、そして盗賊達が狙う管理人の一人
コートで顔がよく見えないけれど、背丈から見てまだ幼い
クラウンもそうだけど、どうしてこの人達が管理人をしているんだろう
少女は教壇に近付くと、クラウン同様教壇を押し始めた
ずっと頑張って押すのだけれど、固いのだろうか?
なかなか教壇が思うように動かないようだ
「あ、開かないよぉ・・・」
少女の泣きそうな声が静かに響く
こんな小さな体だ、この教壇を動かすのは難しい
クラウンでさえ困難な教壇だ・・・
「・・・どうしよう?」
果たして今、手伝うと言って出てくれば少女はどう反応するだろう?
怖がるだろうか?逃げるだろうか?迎えてくれるだろうか?
たぶん1か2あたりだろう・・・3はありえないと言っていい
だけど、悩んでる人を放っておくなどエルフには出来ない
「よし」
エルフは小さく意気込むと、勢いよく立ち上がるが
「あの!!えっと・・・」
上手に言葉が出ない・・・タイミング間違ったのかもとエルフは滝汗になった
「その・・・それ、開かないなら私手伝うわ」
少女は何も答えない、いや答えられないに近いだろう
体をびくびくと震わせ、かなり怯えている
「あ、怖がらないで!!えっと私は怪しいものじゃ・・・ってこの見た目じゃめちゃくちゃ怪しいわね;あぁもうッッ!クー!!クラウン!!早くきてよ〜!!」
どう接していいのかわからずにその場にいない男二人にあたる

その頃の二人は・・・
「へっくしょい!!」
「・・・風邪か?」
「いや、そんな事はないんやけど」
実は街についていた
しかし、肝心なここからの道をクラウンが忘れてしまっていた
ある意味、エルフと同じ状況になっているという事を
クーリエはまだ知らない

「へ・・・今なんて?」
少女が初めて声を出した
さっきは遠く聞きづらかった声だが、今はまだ近くにいたため声は小さいものの聞きやすかった
とてもかわいらしい声だった・・・
「今・・・クラウンって」
「え、ええ・・・えっとクラウンから話は聞いてるわ。だから安心して」
少女はその一言で緊張の糸をプツンときれたように教壇にもたれかかる
「だ、大丈夫?!」
「大丈夫・・・」
街の人がきたのかと思った、と少女はつぶやいた
確か、クラウンも場所ばれちゃいけないみたいな事言ってたわね・・・
確かに羽根を管理
()しているんだから、見つかったらヤバイ所じゃない
「・・・ねぇ、あなたはどうしてクラウンと?」
少女はかわいらしく首をかしげ聞いてきた
「えっと・・・ちょっと訳ありで意気投合しちゃって」
嘘・・・はついてない
本当に意気投合して、仲良くなったのだから
だけど、クーの羽根の事は言えなかった
この事だけは、ちゃんとクーに許可をもらわなくっちゃ
エルフのぎこちない笑みに不信感を抱きながらも、少女は教壇を押すのを再会する
「こっち・・・に・・・あるの・・・!!」
何が・・・決まっている。羽根があるのだ
そのためにはまずここを開けなければいけないらしい
「私も手伝うわ!!」
エルフは少女の横に並び、一緒に教壇を押し始めた
硬い・・・思ったよりも教壇は動かない
それをクラウンは一人で開けていたのをエルフは思い出す
・・・やはり凄い人だったんだと改めて関心した

しばらくしても、教壇はびくともしない
「あ、開かない・・・」
「やっぱりだめなの・・・?」
少女はまた泣きそうな声だった
だが、どうしようもない
自分の力を足しても、動かないこの教壇がある限り・・・
「・・・クラウンの・・・ばか」
少女が小さく呟く・・・それは本当に小さな声で
「クラウンのばかーーーー!!」
次の声は教会中に広がった・・・もちろん大きな声で
横にいたエルフは、驚きのあまり目がまん丸になる
さっきまでの声の大きさとは違って・・・それだけ怒りが篭ってるっていう事なのか

「こぅらぁーーーー!!誰がバカやてッッ?!!」
ぎぎぎと開く扉が、がだんとまた違う音をたてて乱暴に開く
その扉をあけたのは、短髪のタイハン弁を話す男の子
「く、クラウン・・・」
少女がいつも通りの小さな声で話す
「お前のその馬鹿でかい声外に丸聞こえやぞ!!それに俺はバカちゃう!!」
「馬鹿だろう・・・それ以外に何がある?」
その後ろには、尻尾髪の少年・・・クーリエが呆れながら立っていた
なにやら、二人でバカだのバカじゃないだの言い合い始めた
この二人・・・私のいない間に凄く仲良くなってる
とてもいい事なんだけど・・・感動の再会がこれ?
「・・・もう!!クーのばかーーーッッ!!」
エルフは八つ当たり気味に叫んだ
当の本人クーリエは何がなんだかわかっていない様子
横ではクラウンが笑っていた
「クラウン・・・」
少女が呼ぶ・・・・それはそれは小さな声で
エルフの耳でもやっと聞けた小さな声
「ん、なんや?」
そんな小さな声を聞きクラウンは笑顔で返事をした
驚いた・・・あんな小さな声を聞き取ったクラウンに
微笑んだ・・・小さな声を話す少女に向かって
その笑みは優しかった・・・エルフ達が見てきたどんな笑みよりも
「来るの遅い・・・」
それは、小さな子供が拗ねたような仕草
顔を背け、頬を少し膨らませる
「悪いな、ちょっと久しぶりやったから・・・道がな」
そう言うと、クラウンが少女に向かって歩き出す
クーは、教会の扉を閉めこちらに向かってきた
と思ったら、普段見ないものがたくさんあるのだろう
興味深々と周りを見ていた
「これ、もういいやろ・・・シャイ」
そう言うと、シャイと呼ばれた少女のコートを乱暴にはがす
コートの下から見えたのは、ショートの淡い紫髪で翡翠色のクリッっと大きな目の小柄な少女
シャイの顔は怯えていた
いや、体全体で怯えていた
体は震え、顔は恐怖を示している
「大丈夫や、こいつらは特別・・・安心していいんや」
クラウンは優しくシャイの頭を撫でる
すると怯えきった表情は和らぎ、シャイはクラウンの胸の中へとゆっくりと倒れる
そして、かわいい吐息をたてて眠りについた
「はぁ・・・悪いな。こいつ極度の人見知りで、俺以外にはこういう態度になってまうや」
「いいよ、気にしないで!!・・・かわいい寝顔」
正直、そう思う・・・
女の子の私でも、羨ましいと思うかわいい少女なのだ
歳は12、3ぐらいだろうか?まだ幼い感じがする
「なぁ・・・お前はここで何してたんだ?」
教会を探索し終わったのか、クーリエが戻ってきた
何をしていたっけ?エルフは、後ろを振り返ると見えたもの
それは教壇だった
「あ、教壇が開かなくって・・・」
「あぁ・・・ここの教壇はなぁ」
クラウンが教壇に歩み寄るが、シャイを抱きかかえているため上手に動けない
仕方なくクーリエに代わりに開けてもらうことにした
「ここの教壇は、この足を蹴飛ばして開けるのがコツや」
その指導通りクーリエが動くと、教壇は簡単に開いた
その先には、クラウンの時と同じ階段が続いていた
クラウンは近くにあった蝋燭をクーリエに渡し、先に行くように言った
私もその後に続く・・・

 

 

 

 

やっと会えたその笑顔
その優しい手
また一緒にいれる
また楽しく過ごせる
そういう期待を
簡単に神は打ち砕くのだ

 

 

 


 

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後書き
 
はい、毎回毎回なんかよくわからない終わり方ですみません;;;
そしてクラウンいい所取りすぎ!!クー出番なさすぎやー!!(ちゃぶ台返し
もうちょっと考えないと・・・準主人公の名がッッ!!
えっと・・・前々から語りだけで登場していた少女シャイちゃんがやっと出てきました
ふぅ〜・・・とりあえず安堵です
´´
もういい加減出さないとやばいなぁと思い、急きょ出番決定!!みたいな♪
臆病なシャイちゃんにはキツイ事ですが・・・まぁこれも人生(誰
次回からたぶん活躍するであろうと考えております!!
でわでわ今回はこれにて・・・また会える事を

タイハン弁とはクラウンの話す言葉で、国の名前です。
わかってると思いますが、大阪を違う読み方にしただけなんですけれど;;;